このコーナーは「Cheer paradise」というサイトで掲載されたものです。事情により掲載続行が不可能となりましたので、引き続きエミネクロスのホームページで掲載することになりました。
この「チアリーダースピリットA to Z」は毎月25日更新の予定で、頭文字Aから順にA=AFFECTION 愛情、B=Beloved 最愛の、C=Cheer 元気づける(例)などチアリーダーに関連のある単語を題材にスポーツドクター辻から見たチアの素晴らしさをチアリーダーやチアに興味ある方、ない方、皆さんにお伝えしていきます!

チアリーダースピリットA to Z
第2回 Affection(愛情)
さて、いよいよAtoZのはじまりです。
第1回はチアリーダーとしても人間としても、最も大切な生きる力の根源で、チアしていくためにもなくてはならない重要なスピリット“愛”について考えてみましょう。
みなさん、チアリーディングを始めとした毎日の人生は、いったい誰のためにやっているかと尋ねられたらどうしますか?おそらくほとんどの人が自分のためと考えるでしょう。人を応援するチアも、実は自分のためにやっているはずです。このような自己愛のない人はいません。誰でも持っているものなのですから。つまり「自分のために」ということは、 誰でもできるということなのです。実は自己愛があってはじめて人のためにもできるのです。しかし、この誰にでもある自己愛を本当に持っている人は少ない。それよりも、自己愛というと利己的でわがままと勘違いしている人も少なくありません。人のためにできることこそ、自分のためというのが“愛”です。がまんして、人のためにやっているのは本物ではありません。自分がうれしいからこそ、自分のためにやれるはずです。したがって、自分のためという自己愛がなければ、真の他己愛など生まれてこないのです。まず、チアリーダーのみなさんには限り無い自己愛から生まれた、他己愛の持ち主になっていただいきたいと思うのです。そのためにはまず自分を好きになっていなければなりません。自己愛の原点は自分を好きだということからはじまります。教育学者で有名なドロシー・ロー・ノルト氏はこう述べています。「自分を好きになるのは大切なことです。自分のことが好きな子というのは、 わがままな子とは違います。自分のことが好きで心が満たされている子の方が、実は人にも親切なのです」と。心理学でも自己愛のない他己愛はないとさえいわれています。したがって、自己愛とは単純に自分を愛することだけではないのです。自分がうれしいと感じられる対象を他人にまで広げることにより、より多くの人を愛することができるのです。その方が自分がもっと嬉しくいられるわけです。
分かりやすいので親子関係を例に挙げて説明してみましょう。親は自分の子供がイキイキとした表情で学校に行くことは、あたかも自分のことのように嬉しいものです。親である自分はクタクタに疲れても、遊園地に行って子供が喜んで眠りに就いた時は、とっても嬉しいものです。喜んでいて、うれしいのが自分ではなく、子供なのだけど、自分が嬉しい。
これは、自己愛を子供にも広げているということに他なりません。嬉しいのは、結局、親である自分です。ただし、嬉しいと感じさせる材料が自分ではないところにあり、子どもがうまくいくことが自分のように嬉しいわけです。これこそ愛です。親の自己愛の幅が子供にも広がっているわけです。親子愛は、まさに愛の原点と言えるでしょう。最高のチアリーダーはまず子どもにとっての親です。
さらに、もう一つ大切なことがあります。それは自分の子供がうまくいって喜べるのと同じように、うまくいかなかった時にも許せるのが、本当の愛だということです。心理学者の衛藤信之氏は著書の中で「愛とはできないことまでも認めてあげられる力」 と語ってい
ます。許すことのできる力、それが本当の愛なのです。上手くいかない仲間を 信じましょう、負けているチームを心から応援しましょう、見違えた後輩を許しましょう。それが愛です。
このように“愛”はチアリーダにとって、 たくさんの人を勇気づけ元気づけ輝かせるためにはとても大切で必要なスピリットです。私が尊敬する精神科医で心理学者としても有名なV・E・フランクル氏はこう言っています。「愛とは、人間の能力を開花させ、その人間の価値を大きく発揮させる、魔術のような行為・現象である」と。
チアリーダーはこのスピリットをもって、スポーツの世界はもちろん社会の中でも生きていってほしいと思っています。そのことでたくさんの人たちが輝くでしょう。
最後にわたしはクリスチャンではありませんが、聖書(コリイント1の13章4〜7節)にのっている言葉をみなさんに紹介して第2回の終わりとします。みなさんのようなチアリーダー1人1人が、笑顔を持ってほんとうの“愛”のリーダーとなってくれることと信じています。
『愛は寛容なもの、慈悲深いものは愛。愛はねたまず、高ぶらず、誇らない。見苦しいふるまいをせず、自分だけの利益を求めず、怒らず、人の悪事を数え立てない。不正を喜ばないが、人とともに真理を喜ぶ。すべてをこらえ、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐え忍ぶ。愛はけっして滅びることがない』

Dr.TSUJI

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